私たちの活動が、燎原の火の如くに拡大し、日本の教育が深化することを願っています。

日本教育推進財団について −設立趣意書−

近年、日本の教育に対する危機感は、高まり続けている。
不登校、いじめ、学級崩壊、学力低下、或いは青少年犯罪の凶悪化や、フリーター、ニートの増加等、
教育問題は学校にとどまらず、社会全体の存立基盤をも揺るがしつつあります。
教育は、日本にとって最も喫緊の課題です。

1980年代以降、先進諸国は絶えず教育改革に取り組んできました。
わが国では、中央教育審議会を中心として改革が進められる一方で、
1984年から1987年にかけて臨時教育審議会が、2000年には教育改革国民会議が、
教育の抜本的な見直しに取り組んできました。

そして今、それらの諮問機関等で提言された施策が「第3の教育改革」として、
着々と推し進められています。
この「第3の教育改革」が21世紀の重大なテーマです。

第1の教育改革は、明治の教育改革です。これは近代化を理念として、
モデルをヨーロッパの近代文明に求めました。

第2の教育改革は、民主化というものを理念として、
アメリカの民主主義にモデルを求めました。

この2つの教育改革にはもちろんプラスの面もありますが、共通の欠点は何か。
それは、過去を全面否定して進歩しようとしたことです。
否定による進歩を目指したところに限界があります。

江戸時代以前の文化を極端に否定しました。縄文時代も素晴しい文化があった。
江戸時代も素晴しい文化があった。戦前も素晴しい文化があった。

でも、それを過度に否定したためにアイデンティティの危機というものが、
子供達の中に生じたわけです。

21世紀の「第3の教育改革」は、「否定的進歩」ではなくて、補い合って完成するという
「補完的進歩」がキーワードです。
それでは、我々はこの問題に対し、どう取り組めばいいのでしょうか。

産業界では、しばしば“企業は人なり”と言われてきました。
新しい製品を作るのも、良いサービスを提供するのも人です。
人こそが企業の基盤であり、盛衰を決する要だという意味です。

経営資源として、人・物・金・情報が挙げられます。
その中でも取り分け、人が最重要資源です。
物も金も情報も、活かすのはすべて人だからです。
こうしたことは教育界に於いても同様です。
どんなに素晴しい組織、制度も、それを上手に活用できる人がいなくては、何の意味もありません。

また、子供達を取り巻く教育行政に携わる人、親・保護者、教職者らが、
その能力を存分に発揮でき、躾や教育に全力投球で取り組めるようにしなければ、
いかなる教育改革も効果は上がりません。 まさに人材育成が叫ばれる所以です。

では、教育現場の問題点はどうでしょうか。
家庭で行うべき躾までも学校に依存し、自らの責任をまったく果たさない親・保護者の問題。

教育者としての使命感も、力もない教師の問題。
さらには教育委員が名誉職化してしまい、思い切った教育政策の立案、
決定ができない教育委員会の問題等々・・。問題は山積しています。

しかし日本では、ともすると教育関係者に対して責任の追及に終始し、
場合によっては教育に懸ける熱意を奪うような対応をする傾向にあります。

日々現場で取り組む人々の意欲の向上、能力開発における適切な支援を
行っていくことが極めて重要なのです。

教育を取り巻く多くの問題に、苦慮しながらも、熱意を失わず諦めることなく
努力を重ね続けている、教育関係者の懸命な姿があります。
日本の教育が、何とか維持されているのも、まさしくそうした多くの教育関係者の努力の賜物です。

そこで我々は、より良い教育の実現を目指して、力を尽くしている人々を支援し、
元気にすることによって、教育問題を解決する糸口を見出そうとしています。

すでに存在している様々な資源を結集させ、日本の教育を推進していくことに、
微力ながら力を尽くしていく所存です。