私たちの活動が、燎原の火の如くに拡大し、日本の教育が深化することを願っています。

加藤寛名誉会長を悼む

加藤寛名誉会長の突然の訃報に接し、驚愕に耐えませんでした。

国鉄の分割・民営化や郵政民営化などで中心的な役割を果たし、税財政や教育分野で積極的な提言を
続けてこられた、千葉商科大学名誉学長で慶応義塾大学名誉教授の加藤寛(かとう・ひろし)先生が、
1月30日心不全のためご逝去されました。享年86歳。

私たちにとってかけがえのない偉大な尊敬すべき指導者であり師範を失い、まさに愛別離苦の極みです。

昭和25年慶大経卒。加藤先生は、学生時代にはソ連経済論を学ばれ、
その後比較経済体制論を深められました。
ハーバード大学に留学され、公共選択論を構築されました。

世界の優れた研究者とも交流があり、ノーベル経済学賞をとられたジェームズ・ブキャナン先生とは
深い親交がおありでした。加藤先生が公共選択学会を創設されたことは日本の社会科学にとって
極めて大きな貢献でした。

昭和41年から慶大経済学部教授をお務めになり、
56年から58年まで第2次臨時行政調査会(土光臨調)の第4部会長として
国鉄、電電公社、専売公社の民営化案をとりまとめられました。

小泉純一郎元首相や竹中平蔵慶大教授らと親交が深く、
郵政民営化でも政府の検討会議の座長にご就任。
リーダーシップを発揮されました。

平成2年から約10年間、政府税制調査会長を務め、
消費税率の3%から5%への引き上げなどを主導されました。

教育改革にも取り組まれ、慶応大在籍中には、湘南藤沢キャンパスの総合政策学部の開設に
尽力されました。慶大教授時代の教え子に小泉元首相のほか、橋本龍太郎元首相、
小沢一郎元民主党代表らがおられます。

平成7年4月から19年3月まで千葉商科大学学長、20年から24年まで嘉悦大学学長を歴任。
第一生命経済研究所名誉所長、財団法人小原白梅育英基金理事長なども兼務しておられました。

加藤先生はいつも明るく優しく気さくに接してくださいました。
一方、国際、政治経済、社会、教育問題等、国家運営には大変厳しく
的を射た論点を指摘され、時に舌鋒鋭く改革への情熱と人間愛に満ち溢れておいででした。
そして、私共の活動に多大なる期待をかけてくださいました。

加藤先生ほどの偉大な学者であり、教育者であり、政策実践を行える人物は
二度と現れないのではないかと思います。

そうした偉大な先生に名誉会長としてご指導をいただけた日本教育推進財団は
この上なく恵まれた教育機関です。

私達後進は加藤先生のご遺志『教育が日本を変える!』、この念いを受け継いで、
有為の人財を育成すべく、これからも精進致して参ります。

加藤先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。


一般財団法人 日本教育推進財団 会長 坂東弘康